「軍学共同いらない!市民と科学者の会・大阪」 オンライン学習会を開催
12月20日(日)大阪革新懇は、菅首相による日本学術会議会員の任命拒否のねらいと問題点を学び、菅政権を追及する世論を広げるために、大阪平和委員会・日本科学者会議大阪支部と連携してオンライン学習会を開催しました(主催:「市民と科学者の会・大阪」)。学習会には、大阪革新懇の賛同団体、地域・職場革新懇などから20名、全体では70名が参加・視聴しました。
任命拒否された小沢教授(東京慈恵会医科大学)がビデオメッセージ
大阪革新懇代表世話人の冨田宏冶さん(関西学院大学教授)が開会あいさつ。冨田さんは、日本学術会議会員任命拒否の問題点を、①菅首相が任命拒否の説明責任を果たしていないこと、②日本学術会議に政治介入し、「学問の自由」「表現の自由」に抵触していること、③日本学術会議を変質させ、軍事研究を迫っていることと述べ、井原先生の講演から本質的問題について学んでいきたいとあいさつしました。
続いて、任命拒否された当事者の1人である東京慈恵会医科大学の小沢隆一教授がビデオで訴え。小沢さんは、「菅首相による日本学術会議会員の任命拒否は、日本学術会議法・憲法15条に違反。平和と民主主義に対する重大な脅威である」と厳しく批判し、「強権支配による平和と憲法破壊に正面から闘い抜く」と決意を語りました。
井原さん 任命拒否の問題点と今後の展望を語る
次に、日本科学者会議事務局長の井原聰さん(東北大学名誉教授)が、「日本学術会議会員の任命拒否のねらいと問題点―軍事研究とのかかわりについてー」というテーマで講演しました。井原さんは、「この70年間平和と核兵器廃絶、再軍備、日本学術会議の独立性、軍事研究などをめぐって様々な攻防が繰り広げられた」と資料をもとに詳しく説明。
井原さんは、日本学術会議の役割と組織を説明するとともに、菅首相の日本学術会議会員任命拒否に対して、12月2日現在1195の学協会・大学・法曹界などが機敏に声明・要望書を発表したことを紹介。それらを無視して自民党が、日本学術会議を政財界のシンクタンクに変質させる提言を発表したことを厳しく批判しました。井原さんは、任命拒否の問題点を、①憲法15条・23条違反、日本学術会議法違反は立憲主義に対する攻撃、②任命拒否の理由を示さず拒否する態度はパワハラの極致、倫理性の欠如、③「組織改革」を理由に日本学術会議を恫喝する政治的手法は政治家の資質が問われるもの、④学術・文化の多様性の無理解、⑤憲法19条「思想・良心の自由」、憲法21条「表現の自由」の侵害、⑥日本学術会議の変質を画策、⑦違法な人事介入でファシズム体制づくりの7点を挙げ、詳細に説明しました。
井原さんは、軍事研究にかかわってアメリカ軍が日本物理学会に資金を提供していたことを1967年朝日新聞が暴露し、日本物理学会が「今後内外の軍隊からの援助、協力関係を持たない」とした決議を採択したことを紹介。それを受けて、日本学術会議も1950年の「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」に続き、1967年2度目の不戦の誓い「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発表したと述べました。その後、自民党と政府の日本学術会議攻撃を経て、1983年日本学術会議法が改定されたが、日本学術会議の抗議により「学会から推薦された者は拒否しない」「形だけの任命にする」と政府が答弁したことを紹介しました。
最後に井原さんは、今後の展望として、①日本学術会議が毅然たる姿勢を貫き、支援を広げること、②「学問の自由」について広範な市民と考えること、③日本学術会議の役割と実像を提示し、科学と政治のかかわりを議論すること、④軍民両用(デュアルユース)研究の欺瞞を暴露すること、⑤議会への働きかけを強めることなどを挙げ、講演を閉じました。
平和憲法、自由と民主主義が大切にされる政治と社会を
講演後の交流では、大阪市立大学に軍事研究中止を求める運動に取り組んでいる津田康夫(大阪市立大学卒業生)さんが発言。津田さんは、日本学術会議会員任命拒否の問題について、10月26日(月)「市民と科学者の会・大阪」として声明を発表したことを紹介。津田さんは、声明文の一部を引用し、「菅政権による日本学術会議への政治介入と大学・研究機関への軍事研究の押しつけそれらを同調・後押しする維新の会の言動は、平和憲法を踏みにじって憚らない、改憲・軍拡推進の『同じ穴のムジナ』」と厳しく批判。「『住民投票』勝利の教訓を生かして、今こそ平和憲法を守り、自由と民主主義が大切にされる政治と社会を実現させよう」と、呼びかけました。最後に、大阪平和委員会会長の西晃弁護士が閉会あいさつしました。
大阪革新懇は、オンライン学習会を契機に、日本学術会議会員任命拒否の問題点と菅首相の危険なねらいを一層広げるために、全国革新懇が提起している「日本学術会議の任命拒否の撤回を求める署名」を推進します。今週落語家の桂文福さんから署名欄一杯の署名が届けられました。
~がんばっています地域・職場革新懇 <PART22>~
<箕面革新懇> 第26回総会開催 小林恒夫さん(日本語教師)が記念講演
12月12日(土)箕面革新懇は第26回総会を開催し、28名が参加しました。中国で日本語教師をしていた小林恒夫さんが「歴史、文化、交流の旅―中国で日本語教師をしながら」と題して記念講演。
小林さんは2004年に初めて中国へ。古代に中国大陸・朝鮮半島から文化が伝来し、稲作の起源や宗教に興味・関心があったので中国に渡ったそうです。現地では民族問題、少数民族問題を身近に感じたと話されました。中国は56の民族を有する多民族国家。小林さんが住んでいた吉林省延吉市延辺州は、朝鮮族の自治州で韓国との関係が深いそうです。学生は向上心があり真面目。しかし、暗記中心、点数主義、成績主義の傾向があったため、小林さんは個性・創造性重視を心がけて日本語を教えたと語られました。講演を聞いて参加者からは「心おおらかな優しい気持ちで過ごしてこられた中国の16年の歳月。その体験談は新鮮でとても刺激的でした」などの感想が寄せられました。
記念講演に先立って行われた総会第一部では、樋口泰一代表世話人がパネルを使って主催者あいさつ。阪井耕二事務局次長が「報告と提案」で、箕面市長選挙・市会議員選挙の経過、「都構想」住民投票勝利の教訓を述べました。この1年間のとりくみの特徴として、命と暮らしを守る新型コロナウイルス感染防止と抜本的な対策を求める行政闘争の発展などを報告しました。会場からは、75歳以上の医療費2割負担を打ち出した菅内閣との闘いなどが発言されました。