「オリンピック憲章」にも反する東京五輪の夏開催を中止し、
コロナ対策に全力を注ぐことを求めます
2021年6月28日
東京五輪開催予定日まであと1か月をきりました。政府は「安全・安心の五輪開催」を繰り返すだけで、7月23日からの開催に突き進んでいます。新型コロナ感染による死者数が東京を上回り、医療逼迫状態が続く大阪から、東京五輪の7月開催を中止することを求めます。
国民の命を守ることは国の最も基本的で最優先すべき責務です
日本では80万人近くが新型コロナに感染し、死者も14,674人に及び東日本大震災の死者数に迫っています。大阪の死者数は2,647人にのぼりました。五輪を開催すれば、10万人程度の選手・関係者が来日すると予測されていますので、国内の人の流れは確実に拡大します。大阪では、日本三大祭りの一つ「天神祭」の主要行事が,今年も中止を余儀なくされました。感染が拡大し、より多くの人命が失われる危険性があるからです。国こそ人命最優先の立場に立ち、少なくとも東京五輪の7月開催は中止すべきです。
オリンピック・パラリンピックの理念や目的にも反します
オリンピックは、国際的に公正・平等な競技大会でなければなりません。パンデミックの下では,国や地域での感染状況や対策の違いから、アスリートが満足に練習できず、代表選考会が公平には開けていない国も出ています。日本での事前合宿の中止も相次いでいます。「参加することに意義がある」とのオリンピック精神は、「ベストを尽くすことの大切さ」をうたったものです。「公正さ」が保持されない大会は「国際競技会」にはほど遠く、いまだに日本も世界も新型コロナを克服した状況にはなく、「平和の祭典」とは言い難いものです。
医療従事者や警備、ボランティアなどにも感染リスクが発生
「密(集)」を回避するため、パブリックビューイング(PV)の開催を中止する自治体があいついでいます。それとはうらはらに、開催となれば、開催期間中の運営を支える警備や輸送関係者だけでなく、新型コロナ感染への対応に医療従事者や救急隊員を動員しなければなりません。その数は20万人以上になると言われています。医療関係者からは「オリンピックよりコロナ対策に従事させろ」との声が多数あがっています。
科学に基づく専門家の意見と国民世論を尊重せよ
政府のコロナ分科会の尾身茂会長は、「パンデミックでの五輪開催は普通でない。」と危機感をあらわにしています。多くの専門家が感染爆発の可能性を指摘しています。同時に、各種の世論調査でも「中止・延期」が多数です。国はワクチン接種を切り札にしますが、その接種率10.95%(総人口比、6月15日現在)で1日の接種数は70万人前後であり、このペースではあと5か月程度かかります。開催強行なら8月に感染爆発が起こると指摘する学者もいます。
国はこの間新型コロナウイルスとそれに関連して多くの人が命を落とした事実を真摯に受け止め、専門家の意見に謙虚に耳を傾け東京五輪開催をきっぱり中止すべきです。
よびかけ人
大島 民旗(西淀病院副院長・大阪民主医療機関連合会会長)
川崎 美榮子(医師・大阪府保険医協会副理事長)
桜田 照雄(阪南大学教授)
杉本 和 (新日本婦人会大阪府本部会長)
藤永 延代(おおさか市民ネットワーク代表)
渡辺 武 (大阪城天守閣元館長)