大阪革新懇活動ニュースNo.12

大阪革新懇 ケア民主主義学習交流集会 ~ケアに満ちた社会をめざす~

 9月30日(土)大阪革新懇は大阪民医連と共催で、同志社大学大学院の岡野八代教授を講師に「ケア民主主義についての学習交流集会~ケアに満ちた社会をめざす~」を会場とYOUTUBEの同時配信で開催し、あわせて150名以上が参加・視聴しました。

 オンラインで講演した岡野さんは、育児・家事・介護などのケア労働に注目することで生まれたフェミニスト経済学の見地から、主に女性がケア労働を担わされ、市場経済のなかでケア労働が搾取され、廉価とされてきた歴史を詳述。ケア労働は生きるために必要な営みであり、その価値はケアした者にしか理解されない傾向にあるが、多くの権力者はケア実践にかかわったことがないと、厳しく指摘。そして、フェミニスト政治学の視点から、ケア実践の内実とその価値を理解する者が政治の代表者となるべきであり、新たな民主主義を構想するために極めて重要であると強調しました。

 介護・保育にかかわる労働者3名が、現場の状況と課題をそれぞれ報告。社会福祉法人こばと会・グループホームたんぽぽの佐々木まさのぶ施設長は「コロナ禍で高齢者施設はまるで野戦病院状況。クラスター発生時のコロナ感染者17名のうち入院できた人は1名のみ。介護現場の職員不足・低賃金・長時間労働は何らか改善されていない。国が社会保障費を増額することが不可欠」と語りました。
 医療福祉生協おおさか、いきいきケアープランセンター・ケアーマネージャーの松山てるえさんは、「北区はタワーマンションが林立し、確かにセキュリティーは強化されているが、高齢者が認知症などになると様々な困難が発生する。スーパーのセルフレジやマイナ保険証などの導入は高齢者にとって煩わしく、生きづらい社会になっている」と指摘しました。
 一般社団法人・社会福祉経営全国会議・大阪支部の福井しげる事務局長は「この30年間、保育現場は『規制緩和』の流れの中で、つめこみ保育・園庭のない保育所・給食の外部委託・無資格保育士などが認められ、保育の質は確実に低下してきた。70年間以上改善されていない保育士配置基準の改善を」と訴えました。 

 オンラインで参加した大阪大学副学長の島岡まな教授は、「講演の後にケア現場の声を聴けてとても勉強になった。現場にとっても国内外の研究やデータを生かして活動していくこと、研究者と現場が相互に交流すること、とりわけ男女間の賃金格差を政治課題にしていくことが重要」と、指摘しました。大阪革新懇代表世話人で関西学院大学の冨田宏冶教授が開会あいさつし、大阪革新懇代表世話人大阪民医連釘宮隆道事務局長が閉会あいさつを行いました。

 

 

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