三菱UFJ貸金庫事件について、銀行革新懇から寄稿していただきました
三菱UFJ銀行 貸金庫窃盗事件について思う 三菱UFJ銀行OB Kさん
貸金庫窃盗で逮捕されたこの事件は、元同行行員として、大きな衝撃を受けた。 それは、①あまりにも長期にわたり ②多数の被害件数 ③多額の被害額 ④貸金庫の特殊性 ⑤当事者が担当管理者であった、など犯罪の特異性を感じた。事務管理上の弱点は、それなりに想像できるが、管理上の問題は現職、経営に任せて、元行員として職場のモラル、私たちの「誇り」から考えてみたい。私は現職時代、少なくない不祥事に遭遇した。ある職場で現金事故が複数回発生 すると、不祥事事件の可能性があるとして面接が行われた。内容は人権無視の、ひどいものだった。しかし、担当の経営職は必死だった。その時私も面接を受けたが、あまりの理不尽さに怒り心頭!「あなたは、会社に責任を持っていればいいが、私たちは社会に責任を持っている!背負っている責任の重みが違う!」と突っぱねた。当時から従業員組合で処遇改善と合わせ、社会の発展を願ってきたものとして平(ひら)行員であったが、譲れない問題だったからだ。 今回の事件、働く(働いた)仲間として「さみしい!」「悲しい!」 「投資に使った!(FXから始まった)」との報道だが、 今の社会の「金、カネ、かね!」の価値観に飲み込まれた? 金融にモラルを求めたいが、資本に情けは働かない。 金融労働者は「危険物取扱!金と情報を身近においている!」 現職時代私も悩んだ、銀行員の「いい仕事をしたい!」は「儲かる仕事」だろうか?! 「社会の役に立ちたい!」は高望みか? そうではない!「当たり前」の話!!教育者は子供の成長を願い、鉄道員は安全、快適な輸送を担う。 不祥事に関し、経営の責任は当然!信用を担う従業員の人権を守りモラルアップと生活向上に責任を持って欲しい。 国の金融政策も国民生活優先に! 私たち銀行革新懇は、明るい社会、平和な社会を願っています。
三菱UFJ銀行貸金庫事件について みずほ銀行OB Oさん
全銀行の信用を失墜させるものです。私も貸金庫業務を経験しましたが、程度の差はあれ 貸金庫を扱う金融機関の管理体制・手続きは似たようなものだと思います。 貸金庫の管理キーの扱いは特に厳格です。管理職であろうが絶対一人では扱えない手続きに なっているはずです。だが、前代未聞の事件が起こりました。根本的な原因は銀行の合理化による人員削減のため、このケースでは管理職個人任せに なっていたのではないでしょうか。銀行の都合で貸金庫を動かす場合はダブルチエックが 絶対必要ですが、人手不足のため一人で管理することが常態化していたと思われます。 銀行は儲かるところには人員を配置するが、事務関係は必要以上に徹底的に人員を減らす、この経営方針が根本的問題です。犯罪者を弁護するつもりは毛頭ないですが、銀行が、「適正な人員と定められた手続きを遵守することが何よりも大切だ」と考える企業文化が 構築されていれば防げた事件だと思います。私が入行した頃、銀行は公共性が高く事務と営業は車の両輪だと言われていました。 三菱UFJ銀行 貸金庫事件について、この件に関しては新聞報道の範囲内でしか分かりませんが、三菱UFJ銀行のみならず 、今は両輪どころか銀行は営業活動優先の利潤追求のみに走っています。自民党政府による 新自由主義の金融ビッグバーン政策が銀行の経営方針を大きく変えました。銀行の公共性 をかなぐりすて、今後も新自由主義政策である「利潤追求が全てである」との経営方針 と決別出来なければ、形を変え第二、第三の貸金庫事件が起こると思います。